大阪地方裁判所 昭和47年(ワ)2号 判決
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔判決理由〕請求原因(一)の事実に当事者間に争いがない。
<証拠>によると、原告は被告の暴行により請求原因(二)のとおりの傷害をうけ、後遺症があること、その他右後遺症のうち現在耳鳴、健忘が悪化しており、約三カ月の入院がのぞましいこと、また足の関節にも異常があることが認められる。
<証拠>によるへと、原告は右傷害および後遺症により次の損害をうけたことが認められる。
1、(逸失利益)
原告は、十年以上の経験をもち、売上の面できわめて実力のあるホステスであるが、森本薫経営のクラブ「アンビアンス」に移つて四日目に本件事故にあい、それ以後現在まで勤務できない。森本方においては、一日につき、金五〇〇〇円の固定給をふくめ、金一万二、〇〇〇円ないし金一万三、〇〇〇円程度の収入が見込めた。このうち衣装代等の損益相殺を考慮しても約三分の一は収益として残るから、すくなくとも一か月金一〇万円の収益があり、原告主張の五か月間に金五〇万円を下らない収益を失つた。
原告はまた、スナック「文」を経営していたが、顔面および足の怪我が原因で店に出られず、廃業し、(原告本人尋問の結果中の一か月金三〇万円の純益があつたと思うむねの供述はほかに的確な資料がなく、信用性は乏しいが、)相当額の収益を失つた。
結局原告は、事故後の五か月間に、金五〇万円を相当程度こえる利益を失つた。
2、(慰藉料)
原告は、女性として、またとくに、客に接する仕事に従事するものとして、もつとも大事な顔面に相当の傷害をうけ、きわめて大きな精神的苦痛をこうむつた。また傷害による後遺症および足の傷害によりもとの仕事にもどれる見込みはほとんどない。かつ、一〇か月の通院治療にもかかわらず後遺症はよくならず、むしろ約三か月間の入院治療がのぞましいが、もはや収入もなく、入院もできない。これらの事情を総合して、慰藉料の額としては金五〇万円とするのが相当である。
以上のとおりであるから、右損害のうち金一〇〇万円とこれに対する訴状送達の翌日であること記録により明らかな昭和四七年一月一四日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める原告の本訴請求は全部理由があるからこれを認容し、訴訟費用につき民訴法八九条、仮執行宣言につき同法一九六条を適用して、主文のとおり判決する。 (岨野悌介)